
概要: 本研究では、アメリカ大陸における先駆事例との比較に基づき、在来知を取り入れたアグロエコロジーの実践例についての生態学的な調査を行うとともに、各地に点在する在来知について聞き取り調査を行い、成果を食農環境教育の形で社会に還元する。アグロエコロジーは、田畑における生態学的な事象を研究する自然科学の一分野として出発した。近年では、化学肥料と農薬を多投する慣行農業の長期持続性に疑問を投げかけ、オルタナティブな農業の科学的・社会的基盤を考える学際分野として発展している。海外におけるアグロエコロジーは、農業システムの人類学・社会学的な考察とともに、実践研究も包摂する。本研究では、プロジェクト内に在来知研究班、農生態系班、食農環境教育班の3班を設け、災害と気候・社会変動に対する農業のレジリエンス(弾力性)について学際的な議論を進めるとともに、アグロエコロジー研究の国際的ネットワークを構築・推進する。なお、本プロジェクトは、公益財団法人住友財団の2019年度環境課題研究助成を受けている。
災害に対するレジリエンスとアグロエコロジー:災害時におけるアグロエコロジーの有効性の検証は、本研究の主眼の一つである。特に、コロナウィルス蔓延中の現在におけるアグロエコロジーの重要性について、メンバーのアルティエリとにコールズは、下記の論文を発表している。 Altieri, M. A. and C. I. Nicholls (2020): Agroecology and the reconstruction of a post-COVID-19 agriculture (Journal of Peasant Studies)


