合子沢松森(4)遺跡では、縄文初期の終わりから中期の初め(ca. 3300 B.C.)にかけての住居址が検出されている。遺跡は青森市が所有する青森市農林水産部農業政策課畜産振興センターの敷地内に所在する。同遺跡を含む敷地北側は、(有)青森馬事普及「青森乗馬倶楽部」が、畜産復興センターより借り受けている。
本遺跡の発見は、乗馬倶楽部の一員が、野菜畑の設置を目的として行った掘削に端を発する。当研究室は夏期フィールドスクールとして青森市教育委員会と協働し、2008から2010年にかけて毎夏調査を行い、計42㎡の区域を発掘した。
この調査では、円筒下層d式(縄文前期の終わり)から円筒上層a式(縄文中期初頭)までが伴う竪穴住居址1軒、3基のフラスコ形貯蔵穴、平安時代の竪穴住居址一軒を発掘した。さらに25×25×5cmを単位として土壌サンプルを採取し、フローテーションを行った。地元の考古学者や住民などの協力のもと、無事に調査を完了した。
出土した炭化植物遺存体は、ウルシ(Toxicodendron)、キハダ(Phellodendron)、ミズキ(Cornus)、タラノキ(Aralia))、ニワトコ(Sambucus)、タデ(Polygonum)、アカザ(Chenopodium)を含む。詳細は、現在分析中である。

放射性炭素年代測定により、1号住居址がca. 3300−3200 BC、二つの貯蔵穴がおおよそ同年代、そして平安時代の竪穴住居址が10世紀代のものであることがわかった。
この発掘は、カリフォルニアバークレー校の夏期フィールドスクールとして実施し、カリフォルニア大学バークレー校の学内研究費、およびヘンリー・ルース財団による下記の研究助成を受けた。Understanding Lifeways and Biocultural Diversity in Prehistoric Japan (2007-2010年度)。
下記が発掘調査報告書である。羽生淳子・伊藤由美子・安達香織編(2016)『青森市合子沢松森(4)遺跡―2008・2009・2010年度発掘調査報告書―』総合地球環境学研究所・地域に根ざした小規模経済活動と長期的持続可能性プロジェクト発行。(PDF)
